“抜け道”発覚で「物流改革」破綻!? ネットで広まる「実運送体制管理簿」回避術! 国交省のお粗末設計、多重下請構造の闇ふたたび?
今春から作成が義務化された実運送体制管理簿には、義務を回避する抜け道が存在していた。政府は本気で多重下請構造を解消するつもりがあるのか。厳しく問いたい。
「罰則なし」で進まぬ管理簿作成

先日、中堅3PL事業者(荷主企業に代わって物流業務全般を請け負う専門企業)の役員と雑談していたときのことだ。
「実運送体制管理簿作成の準備、進んでますか」
そう尋ねると、役員はあっさりといい放った。
「やってないよ、だってあれ、罰則ないじゃん」
国土交通省の「改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)について」に掲載された「改正貨物自動車運送事業法Q&A(※令和7年1月31日時点)」には、こう記されている。
・問:実運送体制管理簿の作成・保存義務に違反した場合、罰則や行政処分の対象となりますか。
・答:罰則はありませんが、トラック法(※貨物自動車運送事業法のこと)第33条に基づく行政処分の対象となる可能性があります。
国土交通省自身が、作成しなくても罰則はないと明言しているのだ。ちなみに、第33条は、違反事業者に対し事業停止や許可取り消しを示唆する条文だ。しかし、実際に行政処分が下るのは、よほど悪質なケースに限られる。
各SNSでは、運輸局に問い合わせたら、管理簿作成の抜け道を示唆されたというような投稿がいくつも見られる。「やってないよ」と平然と答えた運送会社役員の言葉に驚いたが、国土交通省の姿勢を見る限り、むしろ筆者の感覚のほうがズレているのかもしれない。