高速道路トンネルの「光と闇」 照明設備で渋滞緩和、経済効果も? 笹子トンネル事故から12年…日本のトンネルは安全になったのか
日本の高速道路におけるトンネル設備の格差は、安全性と渋滞緩和に大きな影響を与える。最近の技術革新で設備は進化したが、老朽化したトンネルでは未だ改善が求められている。トンネルの設備強化がもたらす経済的波及効果は計り知れず、安全でスムーズな交通社会構築に不可欠だ。
開通による物流・観光の活性化

トンネル開通による経済波及効果は非常に大きい。日本で最も長く、世界でも2番目の長さを誇る海底道路トンネル・東京湾アクアトンネル(全長約10km)は、1997(平成9)年12月に開通した東京湾アクアラインとともに運転を開始し、これまでに多くの経済効果を生み出してきた。
アクアライン開通により、都心部とのアクセスが大幅に改善された千葉県では、2014年4月から2016年9月の2年半で約869億円もの経済効果を生んだ。当初は通行料が高いため利用者が伸び悩んだが、その後、通行料の引き下げなどを背景に年々利用者が増加し、今では首都圏にとって不可欠な路線のひとつとなっている。
また、本州と北海道を結ぶ「青函トンネル」は現在、鉄道のみが開通しているが、道路のトンネル開通も計画されている。JAPICのデータによれば、道路の青函トンネルが開通すると、年間約878億円の経済効果が見込まれている。これは、主に北海道~本州間の農畜産物輸送が年間約60トン増加することで約340億円、さらに本州~北海道、北海道~本州間の交流人口拡大による観光業の促進が約530億円の効果を生むとされている。
海底トンネルに限らず、通常のトンネルでも開通による経済効果は大きなものになると予想される。既存のトンネルにおいても設備を強化することで、さらなる経済的な効果を生む可能性がある。