高速道路トンネルの「光と闇」 照明設備で渋滞緩和、経済効果も? 笹子トンネル事故から12年…日本のトンネルは安全になったのか
日本の高速道路におけるトンネル設備の格差は、安全性と渋滞緩和に大きな影響を与える。最近の技術革新で設備は進化したが、老朽化したトンネルでは未だ改善が求められている。トンネルの設備強化がもたらす経済的波及効果は計り知れず、安全でスムーズな交通社会構築に不可欠だ。
老朽化トンネルの安全対策の課題

日本には、高速道路や鉄道を合わせて約1万1000か所のトンネルが存在し、これらは長さや交通量に応じて
・AA
・A
・B
・C
・D
の5段階の等級に分類される。等級が高いほど、安全対策の基準が厳しく、必要な設備も多くなる。
特に、非常時に備えた設備は不可欠であり、通報設備(自動通報システム)や消火設備(消火器)、避難誘導設備(避難通路)などが、等級ごとに設置が義務づけられている。
ほとんどのトンネルは、これらの基準を満たす設備を備えている。しかし、それぞれ設備の充実度には差があり、その主な要因は建設された時期にある。近年建設された設備は非常に整っているが、歴史あるものには設備の不十分さが目立つ。
日本の高速道路の歴史は、初めて開通した名神高速道路から半世紀以上が経過し、当初の設備から改修や追加工事が行われてきた。しかし、トンネル自体の老朽化にともない、安全対策が不足している現状がある。私が実際に歴史のあるトンネルを走行し、近年建設されたトンネルと比較して差を感じた設備は、次の3点だ。
・照明設備
・換気設備
・避難設備
これらの設備は、安全運転だけでなく、運転のスムーズさにも大きな影響を与えるため、早急な改善が必要であると感じている。