「50万円必要です」 中古車業界にはびこる闇? 事故車や“起こし屋”の手口… 元ディーラーが語る「保証の落とし穴」とは

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中古車市場には、見えないリスクが潜んでいる。過去の事故歴や修復歴を隠した「新古車」の存在、悪質業者の手法など、消費者は十分な注意を払う必要がある。特に、新生活のスタートに向けて中古車を購入する人が増えるこの時期、リスクを避けるための賢い選び方を解説する。

実例から学ぶリスク回避

中古車販売店のイメージ(画像:写真AC)
中古車販売店のイメージ(画像:写真AC)

 クルマを選ぶ基準は人それぞれだ。新車にこだわる人もいれば、予算やコストパフォーマンスを重視して中古車を選ぶ人も多い。

 中古車は、前のオーナーの使い方によって状態が大きく異なる“一点物”であり、まさに一期一会の出会いともいえる。

 そんな中古車を購入する際に注意すべきポイントについて、筆者(宇野源一、元自動車ディーラー)の身内に起こったトラブルを交えながら考えてみたい。

保険特約と中古車市場の裏側

 中古車にはその過去が不明な点が多いため、リスクがつきものだ。事故歴のある車も珍しくはなく、大きな事故を経て骨格部分の修復が行われた車は「修復歴あり」として販売されることが一般的だ。

 しかし、その修復状況がどの程度かは明記されていないことが多く、消費者にとっては見極めが難しい。特に高年式の事故車がオートオークションに流れることがあり、修理後に再販売されることがある。このような車を安価で購入し、修理を施して転売する業者は業界内で

「起こし屋」

と呼ばれ、比較的多くは修復後に販売されることが多い。しかし、悪質な業者の場合、見た目の修復だけで実際には内部の状態が非常に悪い車両を販売することもあり、注意が必要だ。

 このような車両の多くは、「新価特約」という保険によって処理されたものが多い。この特約は、新車から5年以内に50%以上の損傷を受けた場合に、車両保険が新車時相当額を支払うもので、保険会社はその車両を回収し、オートオークションに出品する。この流れで、修理業者が購入し、再度販売に回るという仕組みだ。

 こうした車両に遭遇しないためには、信頼できる販売店を見つけることが重要だ。インターネット上では、過去にトラブルに遭った消費者の報告記事や動画も多数存在するので、事前に確認することをお勧めする。

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