「50万円必要です」 中古車業界にはびこる闇? 事故車や“起こし屋”の手口… 元ディーラーが語る「保証の落とし穴」とは
ユーザー負担の修理費、保証の盲点」
中古車販売店では、販売した車にトラブルが発生した際にユーザーを保護するための保証制度を設けているところも多い。筆者が勤務していたメーカー系ディーラーも中古車販売を行っており、メーカー保証に加えて独自の保証を提供していた。保証というと、車に問題が起こった場合、販売店が修理費用を全額負担するものと考えがちだが、販売店によっては全額保証を謳いながら、実際には一部しか負担しない保証プランを提供していることもある。
筆者がディーラー勤務時代に遭遇した事例を紹介する。当時、ある中古車販売店からポータルサイトを通じて保証付きで車を購入したユーザーが整備のために来店した。購入から1年半が経過し、
「保証に加入しているから費用はかからない」
との認識で来店したが、実際にはトランスミッションに不具合が見つかり、交換には工賃込みで50万円が必要だという見積もりが出た。ユーザーは遠方から購入したため、購入店舗には持ち込めず、販売店からは「近くのディーラーで修理してもらってください」と指示を受けていた。
ここまでの流れでは、ユーザーが保証に加入しているため、費用は保険会社が負担するものと考えていたが、実際には保険会社から「部品代のみ支払う」との連絡があった。ユーザーも納得できず、筆者は保険会社と交渉を続けたが、結果として工賃分はユーザーの負担となった。
問題の原因は、当時の補償約款に修理費の上限が設定されていたことにあり、その差額はユーザー負担となっていた。この経験を通じて、販売店側の説明と知識不足が招いた問題であったが、最終的には通常より安価で修理ができたため、それがよしとすべきか迷うところだった。
この出来事以降、筆者は新車の延長保証について補償範囲を再確認し、顧客に提案する際は、保証内容について丁寧に説明するよう心掛けている。