日産とテスラ――交わるか、すれ違うか? 菅氏ら「支援計画策定」報道! 43%ルノー支配の二の舞? 政治介入の是非を問う
日産の未来を左右する分岐点

まず、テスラが日産に投資を行うというシナリオには、資本市場における力学が密接に絡んでいる。単なる出資という表面的な行為ではなく、資本の論理がどのように経営の方向性を左右するかが重要だ。
過去を振り返れば、ルノー・日産・三菱アライアンスの構造は、資本の偏りが経営主導権を巡る対立を生んだ好例である。ルノーが日産株を43%保有し、両社間の緊張は長年にわたって続いた。仮にテスラが戦略的投資家として日産に資本参加すれば、同様の力学が再び働くことは避けられない。
テスラにとって、日産は単なる「投資先」ではなく
「事業資産」
として映るだろう。日産が持つ北米の生産拠点や販売ネットワークは、テスラにとって地政学的かつ経済的な優位性を強化するための有力なカードとなる。だが、日産側から見れば、それは独立性のさらなる希薄化を意味する。資本参加が「救済」なのか「支配」への布石なのかは、投資比率や議決権の帰属次第で大きく変わる。
ここで問うべきは、テスラが本当に日産にとって最適なパートナーかという点だ。
日産は「リーフ」でEV市場を切り開いたパイオニアであり、そのノウハウは決して軽視できるものではない。しかし、テスラと日産では事業モデルが根本的に異なる。テスラは自社でバッテリー製造からソフトウェア、販売までを垂直統合し、徹底したデータ活用で効率化を図る一方、日産は従来の自動車メーカーとしてサプライチェーンに依存した水平分業型の経営を続けている。
仮にテスラが日産に出資した場合、
・製造プロセス
・販売戦略
・製品哲学
に至るまで、両社の摩擦は避けられない。テスラが求める「ソフトウェア主導の自動車像」と、日産が積み重ねてきた「ハードウェア中心の自動車づくり」は、必ずしも親和的ではない。投資関係が成立したとしても、経営統合や協業に発展するには、両社の文化的・組織的調和が不可欠だ。