トヨタもホンダも巻き込め! オールジャパンで挑む「日本車逆襲」のシナリオ、統一EVブランド「WABISABI」案はどうだろうか?【連載】Make Japanese Cars Great Again(2)
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スマホ革命遅れた日本の教訓

日本車はかつて「高品質」と「革新性」の象徴として、世界中で広く愛されていた。しかし、モビリティ環境が大きく変化するなかで、新たな課題に直面している。本連載「Make Japanese Cars Great Again」では、日本車がもう一度世界市場で輝くための具体的なステップを探る。過去の成功を振り返りながら、現在の課題にどう対応し、未来にどう進むかを考える。たとえば、EVや自動運転技術への対応、デザインやブランド価値の再構築、そしてグローバル市場での競争力をどう高めるかといったテーマを深掘りしていく。未来を切り開くためには、過去に縛られず、現代の技術や市場ニーズをしっかり捉えることが欠かせない。
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日本車の将来に対する不安の背景には、家電製品やスマートフォンの衰退がある。まず、家電製品やスマートフォンがなぜ衰退したのかを考えてみよう。
家電製品の国内生産額は、1990年代初頭の8兆円台をピークに減少し続け、2023年には約3.7兆円となった。日本の家電産業は、1980年代半ばから進行した円高を背景に、海外生産を拡大。人件費の安い国での生産でコスト削減に成功したが、下請けを含めた生産技術の海外流出が進み、強力なライバルが現れることで、日本国内の産業は空洞化していった。本来、日本国内でいかに安く作るかに注力すべきだったが、安易に海外移転を進めた結果が現在の状況だといえる。
スマートフォンに関しては、ガラケーからのパラダイムシフトに乗り遅れたことが主な要因とされている。iPhone登場以前、通信キャリアごとに携帯電話のハードウェアからソフトウェアまでが囲い込まれていた。しかし、スマートフォンの登場により、通信キャリア、メーカー、ソフトウェア会社の間で水平分業が進み、iPhoneやGoogle Pixelのように、他ブランドのスマートフォンを製造する時代となった。
家電製品やスマートフォンの事例から得られる教訓として、以下の方向性が挙げられる。
・コア技術の海外製造をやめ、技術流出やライバルの台頭を防ぐ
・ハードウェアとソフトウェアの水平分業への転換
これらの視点を踏まえた未来の戦略が求められる。