課題だらけ? 自動運転の「ごみ収集車」導入が全然進まない根本理由
ごみ収集車の自動運転化は、労働力不足や作業効率化を解決する革新技術として注目されている。しかし、コストや安全性、法整備の遅れなどの課題が普及の障壁となっており、その実現には慎重な取り組みが求められている。環境省の検証事業を通じた安全性向上の努力とともに、社会全体での受け入れ態勢整備が重要だ。
技術的に実現可能

自動運転技術の実用化が期待される分野のひとつに、ごみ収集車の導入がある。労働力不足の解消や作業効率化という観点から、この分野への期待は大きく、技術的にも実現可能とされている。
実際、三菱ふそうトラック・バス(神奈川県川崎市)は、環境省が実施する電気自動車(EV)ごみ収集車を活用したCO2削減効果の検証事業に参画している。2023年には川崎市で実証実験を行い、事前に設定した収集ルートを自動追尾するシステムを使いながら、収集作業の効率化や作業員への負担軽減効果を検証した。
使用されたコンセプト車両「eCanter SensorCollect」には、車両前後に設置されたカメラセンサーが搭載されており、運転席から降りた人をドライバーとして自動認識。その後を車両が自動で追尾する機能を備えている。また、ワイヤレスによる遠隔操作も可能で、ドライバーの乗降回数を大幅に削減することで、次の効果が期待されている。
・CO2削減
・作業効率化
・作業員の負担軽減
技術的にコンセプト車両が完成している以上、こうしたごみ収集車の実用化はすぐにでも進められるように思える。しかし、現時点で実用化には至っていない。その背景には、どのような課題があるのだろうか。