「日産終わった」「プライド高すぎ」 そんなバッシングをする前に、自動車ファンで「日産の可能性」を考えてみないか?

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日産とホンダの経営統合協議が破談し、批判が相次いでいる。2024年4~9月期の純利益は9割減、北米・中国市場での苦戦、EV戦略の遅れなど、日産の経営環境は厳しい。だが、バッシングを続けるだけで何が変わるのか。商品力低下、過剰生産、技術開発の遅れ――この3つの課題をどう克服するかが、日産再生の鍵となる。今こそ「日産らしさ」を再定義し、成長戦略を描く時ではないか。

EV市場で埋没危機、日産の生き残り策

2025年1月23日発表。主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)
2025年1月23日発表。主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)

 最後に、技術開発の遅れについて考える。EVの先駆者として登場したリーフは、テスラのモデル3と比べると競争力が弱まり、アリアの販売も伸び悩んでいる。

 この状況を打開するためには、技術開発の方向性を明確にし、重点的な投資を行うことが不可欠だ。例えば、「電動4WD技術」に特化したプレミアムEVブランドを展開するのもひとつの手段である。EV市場では単なる航続距離の競争にとどまらず、「走行性能」や「乗り味」といった付加価値も求められている。日産がこれまで培ってきた4WD技術を活用し、「走る楽しさ」を前面に押し出したEVを投入することで、新たなポジションを確立できる可能性がある。

 また、ソフトウェア開発については、内製化にこだわるのではなく、外部企業との提携を加速させることが求められる。例えば、外資企業との連携を強化し、「コネクテッドカー」の分野で先行する戦略も有効だ。自動車業界はもはやハードウェアだけの競争ではなく、ソフトウェアが大きな鍵を握る時代に入っている。外部の専門性を活用することで、開発スピードを向上させ、競争力を高めることができるだろう。

 日産が再び競争力を取り戻すためには、コストカットだけではなく、事業の構造そのものを見直し、「日産にしかできない強み」を明確にすることが不可欠だ。そのための具体的な戦略を早急に打ち出すことが、今後の成長のカギを握ることになる。

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