日産「鴻海の資本参加」受け入れの可能性はあるのか? 元日産の関氏、幹部に接触情報! しかし政府は「阻止」必須のやきもき状態か

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台湾の電子機器大手・鴻海精密工業が日産自動車への資本参加を検討しているのではないか?――そんな予測がネット上で話題になっている。日本政府は自動車産業の安全保障上の重要性から、鴻海の関与に強い警戒感を抱く。550万人以上が関わる自動車業界における外国企業の影響力増大を懸念し、政府は水面下で対応策を進めているかもしれない。

外資規制強化 鴻海の進出阻む障壁

2022年10月31日撮影、東京都内の自動車ショールームに掲げられたトヨタのロゴマーク(画像:AFP=時事)
2022年10月31日撮影、東京都内の自動車ショールームに掲げられたトヨタのロゴマーク(画像:AFP=時事)

 日本政府が介入するであろう理由は、自動車産業が日本経済における基幹産業であることに加え、安全保障や雇用政策においても極めて重要な位置を占めるからである。

 自動車産業は日本の製造業のなかでも大きなウェイトを占め、直接・間接を含めた関連雇用は550万人以上にのぼる。特に日産自動車は神奈川県を中心に製造拠点を構えており、そのサプライチェーンを支える部品メーカーにも広範な影響を与えている。

 仮に鴻海が日産の大株主となれば、日産の経営方針に対する影響力が増すだけでなく、鴻海のサプライチェーンが日産に組み込まれる可能性が高くなる。これは日本政府がこれまで重視してきた

「国内産業の競争力維持」

という政策とは相反するものであり、特に政府は国内部品メーカーの育成と技術維持に注力してきたため、日産が台湾企業主導のサプライチェーンに依存する状況は避けたいと考えるだろう。

 さらに、鴻海が進めているEV分野への本格参入は、従来の自動車メーカーとは異なる水平分業型のビジネスモデルを志向している。このモデルは、垂直統合型の従来の自動車メーカーとは異なり、日産の企業文化や戦略に大きな変化を強いる可能性があり、政府としてはこのような方向性を容認するのは難しいだろう。

 また、日本政府は外国企業による国内企業支配を制限する仕組みをすでに整備しており、その中心となるのが外為法(外国為替及び外国貿易法)である。自動車産業は「指定業種」に含まれ、外国企業が1%以上の株式を取得する場合、事前に届け出を行う必要がある。経済産業省や財務省は、国益に反すると判断した場合、事実上の拒否権を行使できる権限を有している。

 また、国家安全保障の観点からも外資規制は強化されており、特に自動車産業における知的財産やデータの管理は近年重要視されている。EVや自動運転技術は通信、AI、半導体技術と密接に関連しており、政府はこれらの技術流出を防ぐために警戒している。

 仮に鴻海が単なる投資家として関与する場合であれば問題は少ないが、経営に実質的な影響を与える形で関与することとなれば、政府はこれを容認しないだろう。特に、鴻海が中国企業との関係を強めている点は、政府にとって懸念材料となり、鴻海に対して厳しい目を向ける可能性がある。

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