スタッドレスがあれば「チェーン」は不要? 脱着が面倒! 北海道・北陸のチェーン所有率わずか「12.5%」の現実 今後を考える

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冬季の高速道路では「チェーン規制」により、スタッドレスタイヤ装着車でもタイヤチェーンなしでは通行不可となる区間がある。2018年の国交省改正以降、チェーンの必要性が再認識される一方、普及率は全国で約25%と低迷。特に雪国ではスタッドレス頼みが現状だ。金属製、非金属製、布製など多様化するチェーンの実力と課題を検証し、最適な冬装備の選択肢を探る。

タイヤチェーンの種類とメリット・デメリット

布製タイヤチェーン(画像:オートソック)
布製タイヤチェーン(画像:オートソック)

 脱着が面倒なタイヤチェーンだが、どのような種類があり、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのか。チェーンは大きく金属製と非金属製に分けられる。

 金属チェーンは価格が安く、雪道でのグリップ性能が高いのが特徴だ。一方で、アスファルトが露出した路面では消耗が早く、破損のリスクがある。走行時の騒音が大きく、使用後にメンテナンスを怠ると錆びてしまう点もデメリットだ。さらに、装着の難易度が高いことも使い勝手を悪くしている。

 非金属チェーンは、装着しやすく走行時の騒音や振動が少ないのが利点だ。ゴムやウレタン製の製品は耐久性も比較的高い。ただし、価格が高めなのがデメリットとして挙げられる。

 近年注目されているのが布製チェーンだ。

「スノーソックス」

とも呼ばれ、スリップの原因となる水の膜を布で吸収・分散させる仕組みになっている。脱着が容易で、コンパクトに収納できるうえ、価格も比較的手頃なのが魅力だ。

 しかし、積雪地域での日常使用には向かない。乾燥路では摩耗しやすく、水分を吸収する特性上、長時間駐車するとチェーン自体が凍結するため、こまめに取り外す必要があるのが欠点だ。

 変わり種として、スプレー式のチェーンもある。「チェーン」と呼ぶには疑問が残るが、タイヤにスプレーするだけという手軽さが特徴だ。粘着性の樹脂がタイヤ表面に付着し、グリップ力を向上させる仕組みで、低速走行なら一定の効果を感じられる。

 ただし、持続性が低く、他のチェーンに比べて効果が長続きしない。さらに、国土交通省のチェーン規制に関するQ&Aでは、

「スプレーのように薬剤を吹き付けるタイプのものはチェーン規制中に通行できない」

と明記されており、使用には注意が必要だ。

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