スタッドレスがあれば「チェーン」は不要? 脱着が面倒! 北海道・北陸のチェーン所有率わずか「12.5%」の現実 今後を考える

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冬季の高速道路では「チェーン規制」により、スタッドレスタイヤ装着車でもタイヤチェーンなしでは通行不可となる区間がある。2018年の国交省改正以降、チェーンの必要性が再認識される一方、普及率は全国で約25%と低迷。特に雪国ではスタッドレス頼みが現状だ。金属製、非金属製、布製など多様化するチェーンの実力と課題を検証し、最適な冬装備の選択肢を探る。

再び脚光を浴びる「タイヤチェーン」

雪道とスタッドレスタイヤ(画像:写真AC)
雪道とスタッドレスタイヤ(画像:写真AC)

「チェーン規制」では、スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤを装着していても、タイヤチェーンを装着していなければ通行できない。従来の「冬用タイヤ・チェーン規制」とは異なり、新設された「チェーン規制」では、チェーンを装着した車両のみが走行可能だ。この改正により、存在感を失いつつあったタイヤチェーンに再び注目が集まることとなった。

 同改正の狙いは、通行止めが必要な大雪時において、安全を確保しつつ交通の麻痺を回避することにある。具体的には、大雪のピーク時のみ通行止めとし、その前後の時間帯にはチェーン装着車のみ通行可能とすることで、道路の機能維持を図る。

 しかし、チェーンの普及状況を示すデータは興味深い。「ウェザーニュース」が2018年11月に実施した「チェーンの所有状況に関するアンケート調査」では、全国の回答者7796人のうち約

「25%」

が「チェーンを所有している」と回答。一方、北海道から北陸地方では所有率が12.5%と低い数値を示した。積積雪地域ではスタッドレスタイヤを装着することが一般化しており、雪国の人ほどチェーンを持っていない実態が浮き彫りになったのである。この結果から、

「スタッドレスタイヤを装着していれば、チェーンは不要ではないか」

と考える向きもある。しかし、なぜチェーンは必要とされているのか。

 ポイントとなるのは、スタッドレスタイヤとチェーンの性能の違いだ。スタッドレスタイヤは、雪道での走行性能を維持しつつ、雪のない路面でも走行できるように設計されている。一方、チェーンは雪道専用であり、積雪時のスリップ防止性能においてスタッドレスタイヤを上回る。

 さらに、新たな「チェーン規制」ではスタッドレスタイヤのみでは通行できない。新雪が積もり始め、ピーク時に通行止めとなるような状況下では、スタッドレスタイヤでは安全が確保できないと判断されたのだ。除雪直後の圧雪が進んだ路面でも、しっかりとグリップするチェーンの装着が求められる。

 スタッドレスタイヤは対応できる路面の幅が広く、利便性に優れるが、積雪路での走破性能において万能ではない。だからこそ、部分的にでも「タイヤチェーン」の必要性は依然として残り続けている。

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