ホンダ・日産「統合破談」あっけなく…戦略失敗か、新たなチャンスか? 鴻海が再び買収に動く? 複雑に絡み合う思惑を読み解く

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ホンダと日産自動車の統合交渉破談は、単なる企業戦略の失敗にとどまらず、日本の自動車産業が直面する構造的課題を再浮上させた。EV開発競争や海外資本の影響、産業政策との整合性が焦点となり、今後の方向性が業界全体を左右する分岐点となる。

EV競争激化とサプライチェーン再編

 鴻海の動きに対して、日本政府は慎重な姿勢を崩していない。日産は外為法の審査対象となる企業であり、今後、政府がどのような対応を取るかが注目される。

 日本の自動車産業は過去に「海外資本アレルギー」が強かった。1980年代の三菱自動車とクライスラーの提携や、2000年代にGMがスズキ、いすゞ、富士重工(現・SUBARU)との資本関係を結んだ事例などがあるが、最終的に日本側は独立性を回復し、関係は終息を迎えている。

 しかし、今回のケースには従来とは異なる要素がいくつか存在する。特に、

・EVと半導体産業の相互依存が深まっていること
・日本政府の「経済安全保障」政策との整合性が問われること
・米中対立を背景にした地政学的リスクの影

が挙げられる。

 EV市場の競争が激化するなかで、半導体や電池のサプライチェーンをどう構築するかは、日本の産業政策にとって喫緊の課題となっている。鴻海が日産と協業することにより、これらの供給網が変化する可能性がある。

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