「個人タクシー」は儲かるのか? 現役ドライバーが語る、向いてる人・向いてない人の特徴とは

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タクシー業界の内情を知る現役ドライバーが、業界の課題や展望を赤裸々に語る。今回は、個人タクシーについて。

タクシー運転手のやりがいとは

街中を行くタクシーのイメージ(画像:写真AC)
街中を行くタクシーのイメージ(画像:写真AC)

「それなら電車の方が早いですよ」

と、メモ書きと手振りで説明するが、片言の日本語で「新幹線に乗ったことがない。帰りも頼む」と言う。急いでいるようだ。それで、数十年のタクシー人生で最高売上額を記録することになる、往復19万円の長距離を走った。

 乗せた有名人で忘れられないのは1980(昭和55)年夏、夜の23時。渋谷の百軒坂から、意識を失ったような状態の男性が、3、4人に担がれてやって来た。

「ヨイショ、ヨイショ」

 あれー、この人、俺の車に乗るの? なんか怖いなぁー。

「運転手さん、この人、成城(世田谷区)までお願い。住所は、これ」

 メモ書きをよこした。見ると、超有名な映画俳優。相当に酔っていて、しゃべることもできない。よほど飲んできたのだろうか。

「なんだよー、天下の大スターが、こんな姿、ファンに見せられないよー」と内心でつぶやいて、車を走らせた。

 それにしても世界的な人物。万が一にも事故などあったら大変だ。安全運転には自信があったが、それでも緊張で手が震えたという。

 東野さんが自宅まで無事に送り届けた甲斐あって(?)、男性はその後も多数の作品に出演し続けた。

 細かなエピソードまでは紹介できないものの、東野さんも筆者も、いろいろな人間模様をタクシーという小さなハコの中で見てきた。業界の高齢化や人手不足、不景気について冒頭で触れたが、日々、人の機微に触れるという意味では、面白い仕事だと思っている。