現役ドライバーが物申す タクシー料金“15年ぶり”値上げで「本当に割を食う人たち」とは
タクシー業界の内情を知る現役ドライバーが、業界の課題や展望を赤裸々に語る。今回は、15年ぶり料金値上げに見る業界の行く末について。
東京23区などで、今秋以降
東京都内では約4万7000台のタクシーが、都心から下町、住宅街まで、まさに迷路のような道を日夜走り回っている。
「その先を右に」「そこを左」。運転手は指示に応えてハンドルを握る。ここでは現役タクシー運転手の筆者が見てきた現場でのエピソードを紹介しつつ、タクシー業界が抱える課題を取り上げてみたい。
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東京都内のタクシー料金が、早ければ2022年秋にも値上げされる見通しとなった。2007(平成19)年に初乗り660円から710円になって以来15年ぶりのことだ。東京だけではなく、地方でも値上げの動きが活発化している。
背景には、新型コロナウイルス感染拡大による収益減や、燃料高騰による経営圧迫がある。一方で、値上げすればまた乗り控えと客離れがしばらくの間、加速することになる。
給料は上がらないのに諸物価はどんどん値上がりしている。そう感じている庶民は少なくない。生活は苦しくなるばかり。
乗客を運んでいて日々感じるのは、世の中にはタクシーがどうしても必要という人がごまんといるのも事実で、節約したくても出来ない事情の何と多いことか。