EV時代の争奪戦! なぜ「脱レアメタル」が重要なのか? 中国依存からの脱却、価格高騰リスク…最新技術を解説する
自動車業界は電動化の波とともに脱レアメタルに向けた革新を加速している。IEA予測によると、レアアースの需要は2040年に3.4倍増加するなか、日産やいすゞは使用量削減に挑戦。リサイクル技術の進展と新材料開発が、コスト削減と環境負荷低減に貢献し、持続可能な未来を切り開いている。
脱レアメタルで進化する自動車産業

持続可能な社会の実現に向け、自動車業界における脱レアメタルの取り組みは重要な一歩となる。レアメタルの使用量削減やリサイクル技術の向上は、資源の有効活用と環境負荷の低減に大きく貢献する。
近年、いくつかの企業で進展が見られる。日産自動車は、2025年までにレアアースの中でも特に希少な重希土類の使用量を1%未満に抑えた永久磁石式同期モーターの実用化を目指している。また、SUVタイプの電気自動車「アリア」では、永久磁石を使用しない巻線界磁式モーターを採用し、レアアースの使用量を大幅に削減した。
一方、いすゞ自動車は新型「エルフ」のEVに永久磁石を使用しない誘導モーターを採用し、レアアースの使用を回避している。これらの取り組みは、中国に依存するレアアースの調達リスクを軽減し、サプライチェーンの安定化にも寄与している。
電動車の普及にともない、車載電池のリサイクルも重要な課題となっている中で、自動車業界の脱レアメタルの取り組みは、技術革新と環境保護の両立を示す好例だ。今後も、産学官の連携を通じて、より効率的で持続可能な自動車製造プロセスの確立が進むことが期待される。