課題だらけ? 自動運転の「ごみ収集車」導入が全然進まない根本理由
ごみ収集車の自動運転化は、労働力不足や作業効率化を解決する革新技術として注目されている。しかし、コストや安全性、法整備の遅れなどの課題が普及の障壁となっており、その実現には慎重な取り組みが求められている。環境省の検証事業を通じた安全性向上の努力とともに、社会全体での受け入れ態勢整備が重要だ。
雇用喪失リスクが生む導入への壁

自動運転ごみ収集車の実現を阻むのは、コストや安全性だけではない。効率化が進む一方で問題視されるのが、
「雇用喪失のリスク」
だ。自動運転化によって仕事を失う可能性があると懸念する声が上がれば、導入への反発は避けられない。
さらに、法整備の遅れも大きな障壁となっている。自動運転車両の公道走行に関する法律は整備が進んでおり、「特定自動運行」に関する許可制度も設けられている。しかし、ごみ収集という特殊な作業に対応した法整備はまだ不十分だ。現行の許可制度では、
「特定自動運行が人又は物の運送を目的とする」
と規定されている。一方、ごみ収集車の場合、目的は「人や物の運送」には当たらないと解釈される可能性がある。
実際、「令和4年度自動運転の拡大に向けた調査研究報告書」でも、この許可制度をどのように適用すべきか議論が進められている。現状では、ごみ収集車が法的な対象と認められるかどうかさえ明確になっていないのが現実だ。