課題だらけ? 自動運転の「ごみ収集車」導入が全然進まない根本理由
ごみ収集車の自動運転化は、労働力不足や作業効率化を解決する革新技術として注目されている。しかし、コストや安全性、法整備の遅れなどの課題が普及の障壁となっており、その実現には慎重な取り組みが求められている。環境省の検証事業を通じた安全性向上の努力とともに、社会全体での受け入れ態勢整備が重要だ。
自動運転化が実現しない理由

自動運転のごみ収集車が実現しない要因のひとつは、コストの高さだ。従来の小型ごみ収集車は新車で400~600万円程度だが、EV車になると
「1700~1900万円」
と大幅に高額になる。さらに、自動運転システムを追加すればコストはさらに跳ね上がり、自治体にとって導入のハードルが非常に高くなる。
加えて、安全性への懸念も大きな課題だ。決まったルートを走行するとしても、ごみ収集作業には複雑で予測不可能な状況が多い。三菱ふそうも、実際の利用シーンを想定しながら
・さまざまなシーンでセンサーが正確に検知できること
・十分な認識性能の確保
を課題として挙げている。また、夜間や降雪・積雪時などの悪条件下においても対応可能なセンサーの選定が必要だとしている。
住宅街の狭い道路では、障害物を回避しながら作業者の動き、自転車、歩行者を正確に区別し、安全を確保しつつ追従する必要がある。こうした条件を考えると、自動運転の技術的ハードルは非常に高いといえる。
もちろん、早期に自動運転が実現すれば作業効率化や人件費削減といったメリットが得られる。ただし、安全性を軽視して導入を急ぐわけにはいかないのが現実だ。