会社員の私が、休日に電車とバスを乗り継いで隣県の「町中華」を訪れる理由
現代の都市生活は効率優先のなか、時には「無駄」とも思える時間を取ることで、見えてくる新たな視点がある。電車やバスでの移動、町中華での食事がもたらす心の余白は、忙しい日常の中で見落とされがちな「人の営み」の価値を再発見させる。日常と非日常が交錯するこの小旅行から得られるものとは一体何か。その答えを探る。
「もうひとつの日常」探訪

都会の生活は慌ただしい。朝は通勤電車に揺られ、日中はデスクワークに追われ、夜は街灯の下を家路につく。働くことは生きることであり、都市はその営みを支える舞台だ。しかし、時折その舞台から一歩外に出たくなる瞬間がある。
平凡な日常を少しだけずらし、その隙間に潜む「もうひとつの日常」を探したくなるのだ。それは特別な非日常を求めるわけではない。むしろ、日常の中に隠れた新たな層や、異なる光の当たり方を発見する小さな旅である。
そんな思いがふと湧き上がると、電車とバスに乗り込む。行き先は近隣県の静かな町。観光地でもなく、派手さもない、地元の人々が日々を淡々と営む町だ。目的はただひとつ――町中華の暖簾をくぐることにある。