「赤字確実」「TSMCの無駄遣い」 熊本県の架橋構想「八代・天草シーライン」は県の「南北格差」を解消できるか? 事業費なんと800億円という現実
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九州フィナンシャルグループが発表したTSMCの進出による熊本県経済効果は、10年間で11兆2000億円規模に達するとされ、県南地域の振興策として「八代・天草シーライン」構想が進行中。八代市と天草諸島を結ぶ約8.8kmの架橋が、南北格差の解消と観光・経済活性化に期待されている。
11兆円効果が支える新架橋計画

2024年9月、九州フィナンシャルグループが発表したTSMCの進出による経済効果は、10年間で11兆2000億円規模に達するとされている。熊本県では、この経済効果を活用して熊本空港アクセス鉄道の実現をはじめ、さまざまな交通インフラ整備が計画されている。そのなかでも注目を集めているのが、熊本県八代市と上天草市を結ぶ架橋「八代・天草シーライン」の整備だ。『読売新聞』は2025年1月14日付の電子版で、このニュースを大きく取り上げた。
八代・天草シーライン構想は、1980年代に打ち出されたものだが、本格化したのは2021年からだ。『読売新聞』によれば、2024年12月にはこの構想を推進するための大会も開催され、この架橋がTSMCの経済効果が及びにくい県南部の振興の起爆剤になるとして期待が高まっている。一方で、SNSでは
「誰が使うのか」
「絶対に赤字になる」
といった懐疑的な意見も多い。実際、この構想を聞いて
「TSMCの経済効果による税収の無駄遣い」
と感じる人も多いのではないだろうか。なぜなら、熊本県には市内の渋滞緩和や熊本市電の安全性向上といった、優先すべき交通問題が数多く存在しているからだ。