「通学支援がやっと」 関西の路線バス廃止・減便相次ぐ! バス会社は完全自動運転化まで持ちこたえられるか?
2024年、関西各地で路線バスの廃止や減便が相次いだ。ドライバー不足が深刻化しているため、今後、バス路線はどこまで縮小していくのだろうか。
ドライバー確保へ各社が知恵比べ

バスドライバーは勤務時間が不規則で、乗客のクレーム対応など面倒なことが多い。それなのに、厚生労働省の2022年賃金構造基本統計調査によると、平均月収が
「30万円」
を切る低賃金だ。離職する若者が多く、新たなにドライバーを目指す人も限られる。そのうえ、ドライバーの引き抜き競争が激しさを増している。
バス会社は4月の法改正でドライバーの労働時間規制が強化され、従来以上のドライバー数を確保しなければならなくなった。しかし、いくら募集しても人が集まらず、路線廃止や減便をせざるを得ない状況だ。
バブル期には公営バスのドライバーに年収1000万円を超す例が続出し、批判の声が上がったこともあったが、人口減少やコロナ禍で痛手を受けた地方自治体やバス会社に当時のような高賃金を払う余裕はない。新規採用のドライバーや大型二種免許取得者がいる事業者に対する国土交通省や日本バス協会の助成金制度も、まだ効果を上げていない。
そんななか、阪神バスは新規雇用したドライバーに月額6500円の家賃で兵庫県尼崎市の市営住宅を借りられるサービスを始めた。尼崎市がDV被害者らに市営住宅を提供する支援事業に加わり、ドライバー不足を緩和して路線維持を図るのが狙いだ。
路線バスに完全な自動運転ができるレベル5を導入するには、もうしばらく時間がかかりそう。それまでは人を確保するしか路線維持の方法はない。自治体やバス会社の知恵比べが始まっている。