QRコード決済、「公共交通」で普及しない理由とは?進化する決済環境、解決策は「海外との連携」か
コード決済は、日本の消費者に急速に浸透しているが、公共交通での普及はまだ遅れている。PayPayなどのサービスは、海外との連携を進める一方で、QRコード決済特有の課題が残る。しかし、相互利用の進展により、インバウンド市場向けに新たな可能性が広がりつつある。
整理券方式が生む観光の壁

福島交通(福島県福島市)と会津バス(同県会津若松市)は、2023年10月16日より
・PayPay
・楽天Pay
・d払い
・メルペイ
・au PAY
などのコード決済を導入した。これにより、約500台の路線バスに新しい決済方式が一斉に導入されたが、長良川鉄道とは異なり、ユーザースキャン方式ではなくストアスキャン方式を採用している。
具体的には、車内に設置されたQRコード読み取り装置を使い、乗客は自分のスマートフォンに表示されたQRコードを読み取らせる仕組みだ。
しかし、福島交通と会津バスの運行でも
「乗車時に整理券を取る」
プロセスは依然として必須となる。もし運賃が一律であればこの過程は省略可能だが、実際には乗降地を正確に把握するために整理券を発行する必要がある。
これに関連して、海外には整理券のない路線バスも多く、初めて日本を訪れるインバウンドが整理券方式に戸惑う可能性もある。この点が、インバウンド産業における小さな障壁となることが懸念される。