北陸新幹線「小浜ルート」支持なら、上越新幹線「新宿延伸」も検討すべき? 延伸ルート案と整備効果を徹底検証する
上越・北陸新幹線の大宮以南区間では、ルート再設計により効率が向上する可能性がある。大深度地下を活用することで所要時間が短縮され、池袋・新宿間での速度向上も期待されている。しかし、難工事や費用調整といった課題を克服できるかが、今後の焦点となる。
負担割合の不均衡問題

ここまで理想的な話をしてきたが、問題は建設費だ。
国はかつて上越新幹線の新宿延伸にかかる費用を6000億円と見積もっていたそうだが、現実的には地上部分が1km50億円、地下部分が1km500億円で、大宮~池袋間22.1km(そのうち地上部分4km)、池袋~新宿間5.5km(新宿駅終端部を含め代々木までの営業キロで計算)、合計27.6kmとなる。この区間に大宮駅北側の立体交差設備を加えると、
「約1.3兆円」
になると予想される。
費用の一部は新幹線貸付料を充てるとして、ざっくりいえば、1兆円のうち3分の2を国が負担し、残りの3分の1は埼玉県、東京都、そして上尾市、さいたま市、戸田市、板橋区、豊島区、新宿区、渋谷区が分担することになる。
この3分の1を地方債で調達し、返済資金の70%を地方交付税で補う形にすれば、実質的な負担は12%となり、1200億円を分け合うことになる。これにより、負担がかなり軽減されるが、問題は、新幹線沿線の全自治体が受益者であるにも関わらず、都民と埼玉県民だけが負担する形になる点だ。
地方債を起債せずに、約3300億円を東京都と埼玉県以外の東北、北海道、秋田、山形、上越、北陸新幹線沿線各県から100億円ずつ、各市町村から10億円程度ずつ募ることができれば、この費用を軽減できるだろう。このくらいの金額で済むのであれば、かなり安い投資といえるかもしれない。