大惨事の記憶を忘れない! 大分市の最新「道の駅」に「レトロ電車」が保存されたワケ
2024年7月に開業した道の駅「たのうらら」は、大分市と別府市を結ぶ国道10号線沿いにあり、アクセスが良い。駅内には「別大電車」がシンボルとして保存され、防災教育や観光拠点として活用されている。産直市場や展望デッキもあり、近隣の観光地「大分マリーンパレス水族館」などとも連携している。
電車が保存されたもうひとつの理由

さてたのうららに路面電車が保存された理由は、単に「かつての線路跡に近い場所」というだけではない。ここに電車が保存されたもうひとつの理由は、この地が別大電車にとって忘れることができない大災害
「別大電車仏崎埋没事故」
が起きた場所であるからだ。
1961(昭和36)年10月26日、集中豪雨により大分県内各地で浸水が発生。学校や企業は「半ドン(午後休)」となったところが多かった。そのため、別大電車は午後の授業を取り止めた学校に通う児童・生徒や、通常より早く帰ろうとする社会人たちで満員となっていた。
14時52分頃、軌道横の仏崎の崖が崩落。運悪く別府方面(亀川駅前)へと向かう205号電車が通りかかり、多くの別府市民が巻き込まれた。雨が降り続いていたため救助は難航、最終的には
・死者:31人
・重軽傷者:38人
※運転士・車掌を含む
という大惨事に至った。当日、別大電車沿線の別府市浜脇でも27戸が浸水・流出したほか、翌日には別大電車両郡橋電停近くを走っていた国鉄日豊本線の準急「ゆのか」も土砂崩れに巻き込まれている。
事故後、仏崎には仰々しい落石ガードが設けられ(現在のものは1973年頃に設置された2代目)、またその別府寄りには事故で亡くなった人を弔うためのお地蔵さまが鎮座した。