トヨタ、台湾でミニバン生産へ 26年日本輸出開始も、想像以上にぶ厚い「台湾有事リスク」の壁
トヨタは2026年から台湾でミニバンを生産し、日本へ輸出する計画を進めている。しかし、中台関係の緊張により、「海上封鎖」や「海底ケーブル切断」といったリスクが浮上しており、企業に大きな影響を与える可能性がある。シーレーンや輸送の安全確保が重要な課題となっている。
台湾リスクを抱えた生産体制

トヨタ自動車が、ミニバンのノアとヴォクシーを2026年から台湾の車両生産工場で新たに生産し、日本に輸出する計画を検討していることがわかった。中部経済新聞が9月20日に報じた。
ノアやヴォクシーは国内の工場でも生産されているが、安定的な車両の生産と供給を維持する観点から、国内と海外で同時並行で生産する体制を強化する狙いがあると見られる。
国内向けの車両は国内の複数の工場で並行して生産されてきたが、日本向けの車両が国内と海外で並行して生産されるのは異例だ。この計画の狙いや背景について詳しいことは発表されていないが、ネット上では
・人手不足
・国内のおける大規模災害
などを意識しているのではとの意見が出ている。
しかし、今日の安全保障環境に照らせば、台湾には大きなリスクが付きまとう。当然ながら、それは台湾有事をめぐる動向であり、中台関係はいっそう冷え込む方向にかじを切っている。
台湾では2024年5月、蔡英文前政権で副総統を務めた頼清徳氏が新しい総統に就任したが、中国は頼総統を独立勢力として敵視している。頼氏は就任演説で
「中華人民共和国(中国)と中華民国(台湾)は互いに隷属しない」
「中国による軍事的脅威から台湾を守る」
などと発言し、中国は早速それへの対抗措置を取った。中国人民解放軍で台湾海峡を管轄する東部戦区は就任演説直後、台湾本島の北部や東部の海域、金門島や馬祖島などの離島周辺で大規模な軍事演習を実施し、打撃訓練や実戦訓練などを行った。
こういった軍事演習は、2022年8月に当時のペロシ米下院議長が台湾を訪問した際にも実施されたが、その時は大陸側から弾道ミサイルも発射され、その一部は日本の排他的経済水域にも落下した。