鉄道会社も限界か? 一向に改善しない「撮り鉄マナー違反」、警告強化が意味するものとは

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撮り鉄のマナーが問題視されるなか、危険な撮影行為が多く報告されている。この状況を受けて、鉄道会社は警告文を掲示し、三脚の使用やプライバシー権の尊重が求められている。撮影者は新しいルールを学び、他者との共存を目指す文化を築く必要がある。安全で楽しい撮影を実現するためには、撮り鉄自身の意識改革が急務だ。

見直しが求められる撮影マナー

撮り鉄のイメージ(画像:写真AC)
撮り鉄のイメージ(画像:写真AC)

 列車撮影を楽しむ「撮り鉄」のマナーが問題とされて久しい。

 運行を妨害するような線路内への侵入は論外だが、それ以外にも鉄道会社や沿線地域に迷惑をかける行為が相次いで報じられている。

 必要なのは、撮り鉄の「慣習」をアップデートすることだ。

 近年、業を煮やした鉄道会社が駅などに掲示した撮影者への警告文を紹介しながら、改めて考える。

無人駅の掲示に見る安全意識の変遷

写真1(画像:豊科ホタカ)
写真1(画像:豊科ホタカ)

 まず、「写真1」をご覧いただきたい。これはJR北海道の多くの駅に掲示されている注意書きである。

「ホームから線路に身を乗り出す行為」
「自撮り棒、長い棒等を使い撮影・録音する行為」

とある。これらは、撮り鉄に限らず、乗客一般に向けた注意といえる。

 近年は観光客、とりわけインバウンド(訪日客)の増加にともない、駅での危険な撮影が目立つようになった。自撮り棒は代表例で、列車への接触や架線の高圧電流による感電などの恐れがあり、とても危険である。

 一方、撮り鉄を意識したと見られるのが

「三脚・脚立・フラッシュ・ライト等を使用した撮影行為」

の項目だ。動画サイトへの投稿動画を撮影する人が三脚を駅構内で使用しているケースもあろうが、多くは撮り鉄を対象としているだろう。

 いうまでもなく、列車が運行されている駅ホームで、三脚を使うのは危ない。思いがけず倒れた三脚が走行中の列車に当たったり、ホームを歩く乗降客に接触してけがをさせたりする恐れがある。脚立も同様だ。

 至極当然な指摘で、撮り鉄はもちろん、全ての利用者が守るべきルールである。しかし、その一方で、こうした行為は長らく大目に見られてきた経緯がある。十数年の経験がある中堅~ベテランの撮り鉄にとっては、

「以前は三脚を使っても問題なかった」

と、安全意識がアップデートされていない可能性があるのだ。

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