SNSで話題! イギリスで「軽自動車が爆売れ」情報は本当か?

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英国で軽自動車が“爆売れ”していると話題になっているが、2024年上半期の輸出データでは「0台」となっている。さらに、軽自動車が英国の規制を満たすのは難しく、実際には現地仕様へのアレンジが必要だ。狭い道や低速エリアが多いため、軽自動車にとっては適した環境だが、本格的な需要はまだ確立されていない。

SNSでの偽情報拡散

軽自動車(画像:写真AC)
軽自動車(画像:写真AC)

「英国で軽自動車が解禁されて、“爆売れ”している」という情報がSNSで話題になっているのをご存じだろうか。2024年に入ってから、同様のコンテンツが大量にX(旧ツイッター)やYouTubeに投稿されている。

 動画は、人工音声やフリー素材を使ったような量産系のものが多い。コメント欄には「偽情報です」と書かれていたりするのだが、

「日本スゴイ系」

の動画サイトなどでは再生回数がかなり稼げている。日本スゴイ系とは、日本に関する事柄や現象を過剰に称賛する視点や表現のことだ。この言葉は、特にSNSやメディアで、日本の技術や文化、歴史などが他国より非常に優れているとされる内容が多く取り上げられることから生まれた。

 事実確認をすべく、時間をかけて日本と英国のニュースを探してみたのだが、それらしいものはみつからなかった。

 次に自動車メーカーが会員になっている日本自動車工業会による「日本の自動車工業2024」(2024年8月発行)の「2023年の四輪車仕向地別輸出台数」を見てみた。日本から英国に対して輸出した乗用車の軽四輪車は

「0台」

であった。欧州全体でも0台で、パキスタンと香港とその他アジアにわずかに出しているのみだった。表の欄外には、

「2017年12月実績より、一部会員メーカー台数を含まない」

と注意書きがあるが、それでも大量輸出は考えにくい。海外の工場で作っている可能性も考えたが、例えば英国スズキのウェブサイトには、2024年10月時点で新車の軽自動車のラインアップがない。

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