民営化の公約「ローカル線もなくなりません」は結局、守られたのか?【短期連載】国鉄解体 自民党「1986年意見広告」を問う(6)

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ローカル線の存続は地域経済にとって非常に重要だ。2020年代のJRグループは、赤字路線の見直しを迫られている。特にJR北海道をはじめとする三島会社は厳しい状況にあり、地域住民との協力が求められている。赤字路線を廃止すると地域のアイデンティティが脅かされるため、持続可能な鉄道を支える新たな枠組みを早急に構築する必要がある。

株主重視の復旧判断

肥薩線人吉駅で出発を待つ「SL人吉」。2010年8月13日、筆者撮影(画像:大塚良治)
肥薩線人吉駅で出発を待つ「SL人吉」。2010年8月13日、筆者撮影(画像:大塚良治)

 人口減少やモータリゼーションの進展によって、赤字路線をめぐる状況はますます厳しくなっている。しかし、近年では気候変動にともなう自然災害の激甚化も鉄道の維持に対する新たな脅威となっている。

 例えば、2017年7月の九州北部豪雨によって不通が続いていた日田彦山線の添田~夜明間は、2023年8月28日にバス高速輸送システム(BRT)として再開した。また、令和2年7月豪雨では、肥薩線の八代~吉松間が第一・第二球磨川橋梁の被災により長期運休を余儀なくされたが、八代~人吉間については2024年4月4日に熊本県と鉄道復旧に向けた基本合意書を締結した。一方で、人吉~吉松間については復旧の見通しが未定のままである。

 JR東日本では米坂線の今泉~坂町間、JR西日本では美祢線など、災害によって長期間不通になっている路線が存在する。鉄道の復旧にあたっては、復旧後の路線運営についてもステークホルダーの協力体制を築くことが求められる。

 JR九州に限らず、JR各社は被災路線の復旧可否を厳しい視点で判断しているように見える。特に上場しているJR4社は、株主価値を無視できないためだろう。一方、非上場のJR北海道も赤字路線の整理を進めているが、その背景には大幅赤字がある。非上場の場合、もし恒常的に黒字を確保できるようになれば、赤字路線の整理に向けたプレッシャーは上場会社よりも緩やかだろう。

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