民営化の公約「ローカル線もなくなりません」は結局、守られたのか?【短期連載】国鉄解体 自民党「1986年意見広告」を問う(6)

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ローカル線の存続は地域経済にとって非常に重要だ。2020年代のJRグループは、赤字路線の見直しを迫られている。特にJR北海道をはじめとする三島会社は厳しい状況にあり、地域住民との協力が求められている。赤字路線を廃止すると地域のアイデンティティが脅かされるため、持続可能な鉄道を支える新たな枠組みを早急に構築する必要がある。

赤字路線の現実

根室本線茶内駅に到着した根室行き普通列車。釧路~根室間では厚岸湖などの風光明媚(めいび)な車窓風景が展開する。2023年10月15日、筆者撮影(画像:大塚良治)
根室本線茶内駅に到着した根室行き普通列車。釧路~根室間では厚岸湖などの風光明媚(めいび)な車窓風景が展開する。2023年10月15日、筆者撮影(画像:大塚良治)

 次に三島会社(JR北海道、JR四国、JR九州)について見ていこう。

 三島会社は赤字路線がほとんどで、営業損失が確実と予想されていたため、経営安定基金が設けられ、その運用益で営業損失を補う仕組みになっている。この基金は、経常利益が営業収益の1%になるように、年利7.3%で運用することを想定して設定されていた。しかし、その後金利が低下したため、運用益が減少し、利益を確保するのが次第に難しくなった。

 そのなかでも、JR九州は駅ビルや不動産といった鉄道以外の事業に力を入れ、営業利益を生み出すことで上場の条件を整えた。2016年4月1日にJR会社法の適用除外となり、同年10月25日に東京証券取引所、翌26日に福岡証券取引所へ上場し、完全民営化を達成した。しかし、コロナ禍の影響を受け、2020年5月27日の社長会見で、同社は初めて路線別収支を公表した。その結果、全ての路線が赤字であることが明らかになった。青柳俊彦社長(現・会長)は、厳しい収支状況を沿線の住民と共有し、地方ローカル線の維持や継続のために知恵を出したいという考えを示した(『交通新聞』2020年6月1日付)。

 JR四国は2019年3月22日に、初めて路線別収支を公表した。2022年度には、予土線など3路線4区間が1日あたりの輸送密度が1000人未満であった(JR四国「2022年度線区別収支及び営業係数の公表について」)。当時の西牧世博社長(現・会長)は、路線の存廃について「入口の協議」を行いたいという意向を示していた。

 2024年6月に西牧氏から社長を引き継いだ四之宮和幸氏は、JR四国が2023年度に黒字に転換したことを挙げて、赤字路線の存廃協議を先送りすることを発表した。同社の泉雅文顧問(第4代社長)も最近、赤字路線を廃止しても収支改善はわずかであり、地域と大きな対立を避けるべきだと述べている(『読売新聞オンライン』2024年7月14日)。

 ただ、四之宮氏は社長に就任後、メディアとのインタビューで鉄道の存続が地域の価値を高めるのであれば、そのための費用負担について議論する必要があると発言した(『読売新聞オンライン』2024年8月4日付)。これは、JR四国単独での恒久的な鉄道存続を約束しているわけではない。

 筆者(大塚良治、経営学者)としては、ステークホルダーが協力して鉄道を支えるべきだという意味に受け取っている。今後は、2024年3月22日に開業したJR四国高松駅ビル「高松オルネ」のような非鉄道事業の成否が、赤字路線の行方に影響を及ぼすだろう。

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