中央新幹線7兆円超の道筋と避けられぬリスク【短期連載】リニアはさておき(4)

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リニア中央新幹線は2027年の完工を目指している。工事費は7.04兆円に増加し、用地取得は75%が完了した。超電導リニアの実用化には課題もあるが、JR東海の経営姿勢は変わらず、未来のリニア開業に向けて全力を尽くす。

実用化への道筋と不安

葛西敬之氏の著書『飛躍への挑戦』(画像:ワック)
葛西敬之氏の著書『飛躍への挑戦』(画像:ワック)

 超電導リニアの開発も、中央新幹線のインフラ建設と同時に着々と進められているが、決して完成しているわけではない。

 2009(平成21)年7月、超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会において

「超高速大量輸送システムとして運用面も含めた実用化の技術の確立の見通しが得られた」

と評価され、2011年5月に超電導リニアが中央新幹線の走行方式として採用された。以降、技術開発は着実に進められているが、高温超電導磁石の運用安定性の確立など対処すべき課題が残されている。インフラ部分の建設に時間がかかることから、技術的に見通しがたったとして、その間のブラッシュアップ込みでリニア方式を採用するのは理にかなっている。

 あとは、インフラが整うまでに実用レベルのコストに見合った超電導リニアが完成するかどうかだ。2024年3月の決算短信では

「高温超電導磁石について、営業車両への投入を前提に一層のコストダウンを進めるとともに、安定運用に向けたさらなる検証を進めます」

としており、技術的には完成レベルに漕ぎ着けているものの、現時点では“実用に耐えうるコストレベル”にほど遠いのかもしれない。

 リニアが実現しない万が一について、葛西敬之氏の著書「飛躍への挑戦」(ワック)にこう書かれている。

「超電導リニアの実用システムを開発することが山梨実験線の目的だが、土木構造物の基幹部分は汎用である。最悪の場合は鉄輪系でいかざるを得ないことも考慮し、その際、実用線の一部としても使えるように勾配を40パーミルに抑えることにした」

と。実際のところ山梨実験線以外の区間も、最急勾配40パーミル(水平距離1000mに対して、垂直距離が40mの勾配)となっており、かつ上下線の軌道中心間隔、トンネルも東海道新幹線より大きく設計されている。

 超電導リニアが実用レベルに達し、リニアによる中央新幹線が実現すれば、それは夢の実現であり、かつ交通革命でもあり大きなインパクトを社会に与えるだろう。しかしその一方で、課題が解決できない、あるいは実用レベルのコストを達しえず、

「新幹線方式による中央新幹線」

へ英断を迫られる世界線もまだ残されている。

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