中央新幹線7兆円超の道筋と避けられぬリスク【短期連載】リニアはさておき(4)
リニア中央新幹線は2027年の完工を目指している。工事費は7.04兆円に増加し、用地取得は75%が完了した。超電導リニアの実用化には課題もあるが、JR東海の経営姿勢は変わらず、未来のリニア開業に向けて全力を尽くす。
運輸収入依存のリスク浮上

工事の完了予定時期が伸びることについて、JR東海は
「一般論として、工期が伸びた期間分、東海道新幹線等から得られるキャッシュフローが蓄積され、資金調達の額が減少するため結果として財務上の負荷が軽くなる」
としている。もちろん、工期が伸びることで費用が増える可能性はあるが、全体としてはコストに影響を及ぼすものではないという。
中央新幹線の建設にあたっては、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)から計3兆円を利率0.6~1.0%で借り入れた。工事費の増加分は自前で調達することとなるが、工事費の見直しでは追加の調達分の利率を3%と試算している。工事費の増加額と調達する資金の利率が、今後の行方を左右するかもしれない。
また、JR東海が蓄積するキャッシュフローは、そのほとんどが運輸収入からである。つまり、自前の建設資金を蓄積する、あるいは長期債務を返済するにしても
「運輸収入次第」
で状況が大きく変わるリスクを抱えている。その端的な例が、コロナ禍の運輸収入の落ち込みだ。単体の営業収益の推移、
・2018年:1兆4648億円
・2020年:5417億円
・2023年:1兆4173億円
からすると、新型コロナウイルス感染拡大のダメージがいかに大きかったかがわかる。今後も、新たなパンデミックや自然災害によって営業収益が大幅に減少する可能性がある。とはいえ、JR東海は
「健全経営と安定配当を堅持できないと想定される場合には、工事のペースを調整し、十分に経営体力を回復することで、工事の完遂を目指す」
としており、財務的に問題が生じれば完成時期が“ただ遅れるだけ”といえなくもない。