民営化の公約「またがり利用 = 不便にならない」は結局、守られたのか?【短期連載】国鉄解体 自民党「1986年意見広告」を問う(4)
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新幹線の運賃格差と料金体系

JRグループでは、1996(平成8)年1月10日の三島会社(JR北海道・JR四国・JR九州)の運賃改定により、本州3社(JR東日本・JR東海・JR西日本)と初めて格差が生じたことを皮切りに、特急料金などの各種料金でも各社ごとの料金体系導入が進んだ。
また、整備新幹線の開業の際にも、既存新幹線とは別体系の料金が導入され、会社間をまたがって乗車する場合、運賃は通算されるものの、新幹線特急料金などは会社ごとの料金を合算することになった。
例えば、東海道・山陽新幹線(東海道・山陽新幹線は国鉄時代からの同一料金体系が現在も継続している)と九州新幹線、東北新幹線と北海道新幹線は別路線であるため別料金でもそれほどの不自然さは筆者としては感じないが、北陸新幹線は上越妙高でJR東日本とJR西日本にわかれることから、同一路線であるにもかかわらず、上越妙高を越えて利用する場合、運賃は通算されるが、特急料金などについては両社の料金が合算される。
東京からの新幹線特急料金(普通車指定席・通常期)の比較では、東北新幹線一ノ関(445.1km)まで5580円(はやぶさ利用の場合は420円増)(運賃7480円)であるのに対して、金沢(450.5km)までは6900円(運賃7480円)である。金沢までの運賃は一ノ関までと同額であるが、JR東日本・JR西日本の特急料金が合算されるため、JR東日本区間完結の一ノ関よりも特急料金は割高となっている。
一方、JR発足以降、JRグループの運賃改定はコロナ禍前まで、消費税率変更時などを除いて最小限にとどめられた。このことは国鉄分割民営化の成果の一部であるといえる。物価や人件費などの上昇に対応した運賃値上げまで否定すると、鉄道経営が成り立たなくなることや、大手私鉄では1987(昭和62)年4月1日以降複数回の運賃改定が実施されたことなどを考慮すれば(ただし、大手私鉄も一部の事業者を除いて、1997年の消費税率変更以降、コロナ禍前までは2014年と2019年の消費税率変更に対応した運賃改定のみ実施)、JRの運賃が高くなったとまでは言い切れない。