民営化の公約「またがり利用 = 不便にならない」は結局、守られたのか?【短期連載】国鉄解体 自民党「1986年意見広告」を問う(4)

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直通列車削減の理由を探る。車両の老朽化や採算性の問題が続くなか、直通運転の維持には多くのステークホルダーとの協働が不可欠。過去のダイヤ改正と直通運転の変遷、今後の車両保有管理の提案も含め、鉄道の未来を考える。

直通運転の収入分配と矛盾

JR会社間運賃分配(画像:大塚良治)
JR会社間運賃分配(画像:大塚良治)

 直通運転により利便性が高まれば、JRと私鉄双方の乗客増が期待できる。また、JRと私鉄を直通利用する場合、JR運賃と私鉄運賃は単純合算されるため両者の運賃収入は減らない。こうしたことが、JRが私鉄との直通運転に前向きになれる要因として考えられる。

 それに対して、JR会社間をまたがり利用する場合、JR各社の運賃収入が減少する場合がある。例えば、

・湯河原~宇佐美(18.5km)
・湯河原~函南(15.4km)

の普通旅客運賃(大人)はともに330円(きっぷ運賃)であるが、JR東日本にとっては、後者の区間では自社の取り分が少なくなってしまう。それは、熱海~函南(9.9km)の分をJR東海に配分しなければならないからである(表参照)。

 表によると、湯河原~函南では、運賃収入330円のうち

「212円」(約64%)

がJR東海へ配分され、JR東日本には118円しか残らない。しかも、JR東海には、熱海~函南の普通旅客運賃(同)200円よりも多くの額が配分されるという矛盾も生じる(実際にはこのような矛盾が生じないような調整が施される可能性はあるかもしれない)。この例を見れば、JR各社がJR会社間の在来線列車の直通列車を維持するメリットが乏しい場合があることが理解できる。

 いずれにしても、東海道本線という同一路線であるにもかかわらず、熱海を境に、あたかも

「別路線のような運行体系」

となっていることは、利便性低下を招いている。また、定期券を除いて、湯河原方面⇔函南方面をまたがってのICカードの利用もできない。

 JR東日本東海道本線と伊東線の直通列車も多くはないが、それは別路線であるから不思議ではない。ただし、JR東日本東海道本線と伊東線、さらには伊豆急行線まではICカードのまたがり利用は可能である。湯河原以東からJR東海函南方面へのICカードのまたがり利用はできず(定期券は利用できる)、全くの他社である伊豆急行線ではまたがり利用ができる現状は、“皮肉”であるといわざるをえない。

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