運送会社の逆襲が始まった! 取引解消で荷主あたふた、「代わりの会社が1か月も見つからない」という今さら現実だ
荷主と運送会社の今後の関係

実際のところ、運送会社から選ばれなかった荷主――すなわち、運送会社から取引を切られた荷主はどうなっているのだろうか。
「取引を解消した荷主の動向を積極的に情報収集しているわけではありませんが、根本的な改善を行うこともなく、基本的には以前と変わっていないのではないでしょうか」(岩田氏)
一度取引を停止した荷主から、再び声が掛かることもあったという。しかし、
・運賃
・運行条件
・付帯作業
などは、以前のままだったそうだ。
「一方で気をつけるべきは、ブラック運送会社の存在です。社会保険にも未加入で、もちろんコンプライアンスなどまるで気にしないブラック運送会社は、通常では考えられないようなダンピング運賃で仕事を引き受けますから。また、運賃交渉がうまくいかず、従業員への給与アップができないために、長時間労働をせざるを得ず、結果としてブラック運送会社になってしまっているケースもあります」(岩田氏)
岩田氏は正直者がばかを見ることのないよう、こういったブラック運送会社は徹底的に取り締まってほしいと熱望する。では、「運送会社の荷主に対する逆襲」という本稿のテーマについてはどう考えるのか。岩田氏は、
「逆襲はまだ始まっていない」
という。そもそも、取引の解消は、運送会社にとっても
「売り上げの減少」
など、デメリットが多い。今、運送会社が荷主を選別し始めているのは、
「生き残るための窮余(きゅうよ。苦し紛れ)の策」
である。荷主との取引解消が逆襲というのであれば、それは“勝者なき逆襲”というべきであろう。
「逆襲というのであれば、それは2024年問題を生き残ることができた運送会社ならばできることかもしれませんが……」(岩田氏)
だが、そのときに逆襲されるのは、「運送会社の代わりはいくらでもいる」と勘違いを続けているブラック荷主であって、運送会社を対等のビジネスパートナーとして認める“ホワイト荷主”ではない。
政府は今、2024年問題を契機として、物流ビジネスを大きく変革しようとしている。岸田内閣が推し進める「物流革新」政策や、先日改正された物流関連2法などは、その表れである。
当然、運送会社と荷主の関係も変わらざるを得ない。逆襲などというネガティブな感情が生まれないような、
「健全な関係性」
で結ばれる運送会社と荷主が増えることを期待したい。