運送会社の逆襲が始まった! 取引解消で荷主あたふた、「代わりの会社が1か月も見つからない」という今さら現実だ
運送会社が荷主を選ぶ時代が始まっている。不採算な仕事を強要したり、ブラックな運行をしたりする荷主に対して、運送会社が反旗を翻し始めている。これは、運送会社が荷主に逆襲するチャンスなのだろうか。
若者のトラック離れ、免許制度の影響

そもそもドライバー不足が深刻になっていたことに加え、現在は残業に対する上限規制が課されたことによって、ひとりのドライバーが稼働できる時間が減り、結果、トラック輸送リソースが減少するという状況に陥っている。
これら課題の根本的な原因として、岩田氏が挙げるのが
「免許制度の改正」
である。2007(平成19)年までは、トラックを運転するための免許は、大別すると普通免許と大型免許のふたつしかなかった(けん引免許等は除く)。しかし中型トラック(いわゆる4t車)による交通死亡事故が多かったことから、2007年6月に中型免許が新設された。さらに2017年3月には準中型免許が新設された。
思い返せば、現在50代の筆者は、運転免許を取得した翌日には4t車を運転し、千葉から名古屋まで走っていた(もちろん、先輩ドライバー同乗の上だが)。免許取得以前から運送助手として働いており、トラックのサイズ感や取り回しに、ある程度なじみがあったのは事実なのだが。
「今の子たちにとって、『4t車は怖いもの』なんですよ。そもそも現在の普通免許では、一般的な2t車すら乗れませんし」(岩田氏)
結果、ドライバーはどんどん高齢化していった。現在働いているドライバーの約半数は50代以上であり、逆に20代以下は1割しかいない。30代ですら13.9%しかいないのだ。免許制度という壁が、
「若者がトラックドライバーになる選択肢」
を阻んだ。ドライバーの高齢化に、改悪された免許制度が影響していないわけがない。
「50代以上のドライバーって、もう頑張れないんですよ。そのため、『条件が良い運送会社』を求めて、転職を繰り返すようになってきています」(岩田氏)