駅の約50%が「無人駅」 このまま地域崩壊か、はたまた駅舎活用のチャンスか? そもそも“性善説”で使わせて大丈夫かという治安懸念も

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全国で無人駅が急増し、2019年度には48.2%が無人駅に。駅舎を地域活性化の拠点として、U・Iターン者の地域交流や活動の場として活用するケースが増えている。廃線後も地域資源として再利用できる可能性がある。

地域活性化の成功例

無人駅(画像:写真AC)
無人駅(画像:写真AC)

 筆者(北條慶太、交通経済ライター)は2017年2月、三江(さんこう)線の川戸駅(島根県江津市。三江線の廃止にともない2018年4月廃駅)を訪れた。駅は無人駅だったが、駅舎の空き部屋を活用して地域活性化に取り組むNPOの人たちがいた。無人駅を地域住民の交流の場としてだけでなく、

・Uターン(地方で生まれ育った人が都心で一度働き、また地元に戻って働くこと)
・Iターン(生まれ育った故郷以外の地域で働いたり、移住したりすること)

の拠点としても活用していることがわかった。

 そこには、地元の老若男女が集まり、人のいない寂しい田舎ではなく、「楽しさと価値のある田舎」に高めようとしていた。無人駅は

・地元の人
・Uターン者
・Iターン者

の交差点となり、さまざまな人の力の相乗効果で地域の力を昇華させる“基地”として有効に活用されていた。地域全体が持つ経営資源を最大限に活用し、地域の価値と満足度を高める「地域経営」という言葉が再び流行しているが、彼らはまさにそれを実践していたのである。

 訪問当日の夜、駅舎では地元の老若男女、Uターン者、Iターン者が集まり、食べきれないほどの手料理を囲んでの交流会が開かれた。このような会は、都会から来た人たちが地元の人たちとすぐに打ち解けられるよい機会であり、しかも無人駅で開催されたことがとてもユニークだった。無人駅そのものと、にぎやかな雰囲気のなかで駅と人をワイワイガヤガヤつなげようという試みが、とてもうまく融合していた。

 前述のとおり、三江線は筆者の訪問後、乗降客数の低迷で廃止を余儀なくされたが、駅舎は廃止後も残り、地域住民が歓談するコミュニティースペースとして活用された。2021年、江津工業高校と地元住民が、子どもたちがレールバイクで線路を走り、駅をライトアップするイベントを開催した。

 当時、筆者は川戸駅訪問の一環として、芸備線の狩留家駅(かるがえき、広島県広島市)も訪れた。昔ながらの駅舎は1949(昭和24)年1月に改築されたもので、無人駅だった。駅事務室は高齢者交流施設「夢かるが」として利用されている。高齢者が集い、談笑やゲームなどの交流を楽しむ「居場所」となっている。

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