トランプ氏再選で揺らぐ「EV市場」 深まる米中対立、開発出遅れの日本車メーカーはむしろ救われるのか?
トランプ氏が再選すれば、日本の自動車業界はGHG規制緩和でEV対応に猶予を得る。一方、USスチール買収阻止や円高進行のリスクも。ポジティブ・ネガティブ両面を慎重に見極める必要がある。
再選なしでもGHG規制見直し必要

それでは、トランプ氏が再選しなかったら、GHG規制は変わらないだろうか。
2024年に一部緩和したとはいえ、現行基準を達成するのはなお容易ではない。EV購入の補助金縮小がグローバルに進むなか、高インフレで生活が圧迫される米国や欧州で、高コストEVを避けて、
「安価で使い勝手の良いハイブリッド車」
を見直す流れが出ている。また、再生可能エネルギーの拡充が遅れ、ガス火力発電への依存が続くなか、
「何でも電気で動かせばよい」
という風潮に疑問を感じる向きもある。これから、電力消費が大きい生成AI(人工知能)の利用が世界中で拡大すると、電力不足がますます深刻になる可能性がある。
したがって、トランプ氏再選がなくても、GHG規制の見直しはこれからも続くだろう。ガソリン車の販売縮小、脱炭素が進む流れは変わらないが、そのペースの見直しが必要になると考えられる。
トランプ氏はさらに、関税の引き上げなどによって、中国製EVの米国からの締め出しを進めるだろう。これから北米でのEV比率を高める必要がある日本メーカーにとって、それも追い風となる。日本からの輸入関税も引き上げられる可能性があるが、グローバル生産体制を有する日本メーカーは、米国生産を引き上げることによって対応が可能だろう。
なお、中国製EVの排除は、欧州でも進む可能性がある。EV購入に補助金を出してきた欧州で、何もしなければ中国製EVの販売拡大が進む可能性があるからだ。政府補助金を使って安価なEVの輸出ドライブをかけてくる中国に対して、関税などで対抗する必要が議論されている。