自動車の未来を占う「構造材」 ギガキャストorプレス板? 覇権を握るのはどちらなのか

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近年、自動車業界でギガキャストが注目されている。テスラが開発したこの革新的な技術は、アルミダイカストで複数部品を一体化し、製造コストを30~40%削減する可能性を持つ。しかし、大型機械と高度な設備投資が必要であり、精度管理や製造課題も存在する。

革新的「ギガキャスト」の挑戦

テスラ車(画像:テスラ)
テスラ車(画像:テスラ)

 近年、自動車の主要構造材として「ギガキャスト」を採用する傾向が強まっている。ギガキャストはテスラが開発した技術で、世界標準になる可能性を秘めている。

 自動車の主要構造材とは、エンジンルームやリアアクセル周りの構造を形成する部品で、
・フロントアンダーボディ
・リアアンダーボディ
・フレーム

などがあり、自動車の最も重要な骨格部分である。

 現在の主流は、プレス製部品を主要構造材として、それらをスポット溶接で層状に結合し、ひとつの主要構造材とする方法である。この構造は大小の差はあれ、自動車の大量生産開始以来、長年使用されてきたが、近年、主要構造材として全く異なる構造・ギガキャストを採用する動きがあり、注目を集めている。

 ギガキャストは、ダイカストという鋳造技術を発展させたもので、自動車の主要構造材など非常に大きな部品を、アルミ製ダイカストで一体成形する技術である。

 従来よりも大きな製造設備を必要とするため、「ギガ」キャストや「メガ」キャストとも呼ばれるが、テスラがギガキャストという名称でいち早く自動車に採用した。

 テスラは電気自動車(EV)の専門メーカーであり、数々の先進技術を導入しているが、ギガキャストは量産車にもすでに採用されている技術のひとつである。多くの部品を組み合わせて作るプレス製構造材に対し、ギガキャストはひとつの部品から作れるため、部品点数を大幅に削減できる。

 ギガキャストを採用するには、従来のダイカスト機械をはるかにしのぐ性能を持つ大型機械が必要であり、テスラもその採用のために専用機械を導入している。当初は他メーカーから全く相手にされなかったが、徐々に注目され始め、中国のメーカーも採用し始めた。

 こうした動きを受け、世界の主要自動車メーカーもギガキャストの採用に前向きな姿勢を見せている。トヨタ(2026年)、日産(2027年)、ホンダといった国内メーカーも、2020年代に量産車の一部にギガキャストを採用する計画を発表している。

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