日本経済を圧迫 「物流コスト高騰」の打開策とは【短期連載】フィジカルインターネットの課題を考える(1)
- キーワード :
- 物流, 人手不足, コスト, フィジカルインターネット
物流コストの上昇が私たちの日常にも影を落とし始めた。物流コスト適正化と持続可能な物流サービス実現への救世主と期待されるフィジカルインターネットについて、4話に分けて考えていこう。
なぜ“統一規格”コンテナが必要か
こういった情報はいわばナマモノであり、常に状況が変わる。
そのため、オープンかつリアルタイムに、すべての物流リソースに関する情報が共有される必要がある。
ただし、複数の事業者の手で輸送が実現されるためには、貨物の積み卸し(荷役)における安全性や確実性が担保されなければならない。そのために必要なのが、標準化されたコンテナと、プロトコルである。
一般論ではあるが、荷役の回数が増えれば触れるほど、貨物の破損事故が発生する確率は高まる。荷役のたびに貨物を手積み手卸ししていれば、時間も掛かる。そのため、同じ荷主、同じ行き先の貨物をまとめて収納するべく標準規格化された、複数サイズのコンテナが、フィジカルインターネットにおいては必須となる。
電話、ファックス、メールなど、さまざまな方法で情報がやり取りされる現状では、リアルタイムに膨大な情報を一元管理することはできない。そのため、フィジカルインターネットの情報伝達のための標準プロトコルが必須となる。
繰り返すが、トラックドライバーが突然人気職業になることはありえないから、トラックドライバーを増やすことで、物流コストインフレを解消することは無理だ。
完全無人運転が実現すれば、トラックドライバー不足は解消するが、物流サービスが非効率なままでは、物流コスト削減効果も限定的になる。
低コストで持続可能な物流サービスを実現するためには、今までの物流サービスの立て付けを根本から見直す、フィジカルインターネットが必要なのだ。