一般人こそ知るべき物流問題 商品の価格高騰を招く「空車回送」とは何か

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ドライバー不足が叫ばれるなか、依然としてなくならないのが「空車回送」だ。労働力確保が問題となるなか、ドライバーの1日が無駄に使われる由々しき問題となっている。

一般消費者こそ知るべき現状

物流を支える大型トラック。写真はイメージ(画像:写真AC)
物流を支える大型トラック。写真はイメージ(画像:写真AC)

 運輸業界では現在、ドライバーの

・高齢化
・人手不足

が深刻だ。

 2017年の厚生労働省の調べによると大型トラック運転者の平均年齢は47.8歳で、全職種の平均年齢を5.3歳も上回っている。人員募集をかけても若者は少なく、さらにドライバーの総数は減少傾向にあるため、現役世代が定年を迎えれば状況はより深刻になる。2027年には、商品の輸送を「4回に1回は諦めなければならない」可能性があるとされている。

 そんななか、依然としてなくならないのが「空車回送」だ。空車回送とは荷物を積まずに、トラックを走らせる回送状態を指す言葉。例えば東京の運送会社が、東京発 → 富山着で配送を行ったとする。そのとき、帰りに積む荷物が見つからず、仕事がないまま帰ってくるような状況だ。

 労働力が問題となるなか、ドライバーの1日が無駄に使われるのは由々しき問題といえる。2020年度の国土交通省の自動車輸送当計調査によると、営業車として登録されている車両の約4割が空車回送を行っている(実車率に基づく数値)。

 これは人ごとではない。空車率の高さはこの記事を読んでいる一般消費者にも影響する。なぜなら荷物がない状態で走行しても、ドライバーへの報酬は当然必要となるからだ。

 本来であれば、企業が運送会社に支払う運賃は商品を届けるまでの片道運賃でよいのだが、空車回送が見込まれる場合、2倍ほどの運賃を払っているケースが少なくない。復路の報酬を保証するためである。

 つまりそういった「無駄な運賃の負担」が、私たち一般消費者の購入する商品の「価格に上乗せされている」ことも考えられるのだ。