日本経済を圧迫 「物流コスト高騰」の打開策とは【短期連載】フィジカルインターネットの課題を考える(1)
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- 物流, 人手不足, コスト, フィジカルインターネット
物流維持に必要な「新たな仕組み」
フィジカルインターネットは、インターネットの仕組み、とりわけ、シェアリング(共有)とコネクト(連携)をまねることで、荷主間にある壁、物流事業者間にある壁、運べる/運べない貨物の壁などを取り除き、限りなくオープンな物流ネットワークを創り上げることで、究極に最適化された物流を目指す「共同輸送サービス」の概念である。
共同輸送サービスそのものは現在も行われているし、輸送サービスの効率化やコスト削減につながるものとして評価されている。
現在の共同輸送サービスは、個々の物流事業者や荷主が、それぞれ共同輸送を行う相手を見つけ、実施している。それに対し、極論すれば、共同輸送サービスを世界中の物流サービスにスケールアップすることで究極の最適化を目指すのが、フィジカルインターネットである。
フィジカルインターネット実現において、重要な要素は三つである。
・物流サービスに関わるすべてのリソース(貨物、トラックを始めとする輸送機関、倉庫など)の存在や稼働状況が、オープンかつリアルタイムに共有されること
・前述の状況が、標準化されたプロトコルで情報伝達されること
・貨物を収納し、輸送するための標準化されたコンテナが用意されること
フィジカルインターネットでは、世にある物流リソースの中から、もっとも最適な輸送経路が選択され、輸送サービスが実現される。
例えば、東京から名古屋まで貨物を輸送する場合、現在であれば1社の運送事業者により輸送されるケースが一般的だが、フィジカルインターネットが実現すれば、空いた輸送リソースを渡り歩くように、複数の運送事業者・複数のトラック・複数の倉庫を経由して輸送される可能性が出てくる。
これを実現するためには、例えば「名古屋から静岡まで空荷で回送する予定のトラック」や、「静岡市内で貨物の積替えが行える倉庫」などの情報が求められる。