“道路”の進化が止まらない! 数千万台の自動車から収集される「リアルタイム情報」の衝撃、欧米より10年以上遅れた日本どうなる【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(23)
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道路交通情報の収集と活用が進化し、GPS搭載車両からのプローブデータが主流に。欧米ではAIによる自動検知が常識化し、500mごとに交通状況を監視。自動運転時代に向けた先行投資が喫緊の課題で、リアルタイム情報が渋滞軽減に貢献している。
都市交通の高度モニタリング
日々の道路状況をモニタリングし、市民の安全な移動環境を守っている人たちは、日本と同様に海外も道路管理の専門家であり、道路管理者と呼ばれる人たちだ。
例えば米国では、道路にはさまざまなセンサーやカメラが設置されており、道路の渋滞や異常が多発する箇所には、目視での観測態勢が充実している。近年はAIや高度な画像処理技術により、道路の異常を自動検知する仕組みも常識になりつつある。
都市部には500m間隔で車線ごとに固定のセンサーが道路上に埋め込まれており、時々刻々と変化する交通状態を区間ではなく車線ごとにモニタリングしている。
それに加えて、車両の移動体データからリアルタイムな交通状況をモニタリングし、管制センターを経由し、道路上の表示板やナビゲーションを通して、ドライバーに情報伝達しており、事故対応や保守点検といった道路管理用にも広く活用されている。
例えば、カリフォルニア州やフロリダ州では、道路上を走行しているプローブデータをHERE社から購入し、定点観測データとマージした車線ごとのリアルタイムで精度の高い渋滞状況をドライバーに提供している。HERE社はドイツの主力自動車メーカーの合弁企業であり、プローブデータを用いたビッグデータビジネスを世界展開しているパイオニアだ。