廃線跡の素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない【リレー連載】偏愛の小部屋(7)
1980年代の国鉄末期に多くの貨物専用鉄道が廃止されたが、現代のトラックドライバーやバスドライバー不足を背景に、鉄道貨物の重要性が見直されている。
やばいポイント4「鉄道の復活を妄想」

江別市内には、このほかに江別駅と王子製紙江別工場(現・王子エフテックス江別工場)を結ぶ専用線も国鉄末期の1986(昭和61)年まで運行されていた。王子製紙江別工場専用線の跡地は、線路が剥がされた以外はほぼ手つかずの状態で残されており、江別市内の国道12号線には当時の鉄道用地を回避するための不自然なS字カーブも存在する。
国鉄末期の1980年代は、相次ぐ労使紛争により荷主の信頼を失った国鉄貨物は、トラック物流にシェアを奪われ衰退の一途をたどっていったが、令和の時代ではトラックドライバー不足やバスドライバー不足の問題が表面化している。
国鉄末期の1980年代には貨物専用鉄道はトラック輸送への転換で廃止が進み、旅客鉄道もモータリゼーションの進展にともなう利用者の減少などを理由に特に地方部ではかなりの廃止が進んだ。
しかし、時代は令和となりトラックドライバー不足やバスドライバー不足の問題が表面化。トラックで運べる輸送量は2030年度時点で2023年の30%減少するとする試算結果もあることから、国土交通省は2033年頃までに鉄道貨物の輸送量を倍増させる方針をとっている。
こうしたことから、今後はこうした専用線の復活もあるのではないかということを筆者は個人的には期待をしている。
王子エフテックス江別工場への廃線跡は、線路が剥がされた以外はほぼ手つかずの空き地として残されているところが多く、線路を敷きなおそうとすれば物理的に不可能ではなさそうな状況だ。
国土交通省の鉄道貨物の輸送量倍増という方針の下で、今後、全国各地にあったこうした専用鉄道の復活を妄想するものまた楽しい。