大阪の秘境路線「南海汐見橋線」 過疎地ばりの乗降客数がなぜか増加! もしや将来ワンチャンあるのか

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大阪市の真ん中を走りながら、過疎地のローカル線並みの乗降客しかいない南海電鉄の汐見橋線。廃止のうわさも絶えないが、乗降客はわずかずつ増加に転じている。

沿線は昭和のレトロ感いっぱい

西成区を走る汐見橋線の列車(画像:高田泰)
西成区を走る汐見橋線の列車(画像:高田泰)

 大阪市の真ん中を走りながら、過疎地のローカル線並みの乗降客しかいない南海電鉄の汐見橋線。廃止のうわさも絶えないが、乗降客はわずかずつ増加に転じている。大阪市の中心部を東西に貫く千日前通から駅舎に入ると、昭和の時代に迷い込んだ気分になった。1956(昭和31)年改築の駅舎は外壁に現代的なアート作品が描かれているが、内部は大正モダン風の壁、日本画風の観光案内図などレトロ感いっぱい。大阪市浪速区の南海汐見橋駅。ミナミの繁華街から1kmほどしか離れていないのに、異彩を放つ。

 1面2線のホームにワンマン運転で2両編成の電車がやってきた。西成区の岸里玉出(きしのさとたまで)駅まで4.6kmを30分に1本のダイヤで走るが、車内はガラガラ。車窓から昭和の街並みを思わせる木造の古びた民家や店舗が見える。

衰退する商店街と高齢化の現実

駅前が無舗装の木津川駅(画像:高田泰)
駅前が無舗装の木津川駅(画像:高田泰)

 西成区に入っていくつかの駅で途中下車した。無人駅の木津川駅は2022年の1日平均乗降客数が

「約130人」

と過疎地の駅と変わらない。駅前の路面は最近ほとんど目にしない無舗装。人通りは少ない。少し離れた場所に市営住宅があるものの、駅前から民家は見えず、古い工場や倉庫が並ぶ。その工場の外壁はトタンがさびて赤茶色になっていた。

 同じく無人駅の西天下茶屋駅は1930(昭和5)年ごろ建築の古い木造駅舎が残る。近くにNHK連続テレビ小説「ふたりっ子」の舞台になった銀座商店街(西天下茶屋商店街)があるが、コーヒー1杯160円で有名だった喫茶店など多くの店がシャッターを閉じている。西成区は過去60年間で人口が半減した。衰退する地域の姿が商店街に映し出された感じだ。

 商店街の周囲は古い住宅街が続く。西成区は65歳以上の高齢者が全人口に占める割合を示す高齢化率が37%と大阪24区で突出して高い。近くに住む60代の女性は

「年寄りばかりになったら、電車に乗る人も減るやろ」

と話す。木津川駅以外の1日平均乗降客数は2022年で浪速区が汐見橋駅約580人、芦原町駅約200人、西成区が津守駅約700人、西天下茶屋駅約210人。高度経済成長期よりひと桁少ないが、この10年ほどでわずかながら増加に転じている。

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