「高卒」が企業に人気のワケ なんと求人倍率は大卒の「2.2倍」、AI時代における“学歴”の価値とは?

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上越市長の発言が学歴差別として波紋を呼ぶなか、高卒と大卒の求人倍率や賃金格差を比較し、AI時代における学歴の価値を再考する。

採りやすい大学生に採用シフトしていない

大学受験の合格祈願の絵馬イメージ(画像:写真AC)
大学受験の合格祈願の絵馬イメージ(画像:写真AC)

 採用する側の視点では、これだけの求人倍率の差があるのであれば、より採りやすい大卒を狙えばよいと考えるのがふつうだ。もし大学に進学していることに価値を置いているのであればなおさらだ。

 大学でレベルの高い教育を受けて、成長しているはずの大学生が、高校生よりも採用しやすいのであれば、採用難易度の高い高校生を採用するのは諦めて、大学生に採用ターゲットをシフトしても不自然なことではない。

 しかし、現実にはそうはなっていないから、このような数字になっている。極端な言い方だが、

「大卒は高卒よりも企業からは人気がない」

のである。高卒は大卒よりも人件費が安いから、企業は狙っているのではないかと考える向きもいるかもしれない。

 しかし、厚生労働省の賃金構造基本統計調査などを見ると、20代前半で高校卒は年収約300万円に対して、大学卒は約340万円と40万円程度の開きがある程度であり30代前半くらいまで見ても、高校卒と大学卒の間の年収差は100万円に満たない(大きいといえば大きいが)。

 社会人としての活躍度合いは、入社後数年もたてばある程度の評価はつく。30代前半といえば、高卒なら15年以上、大卒でも10年以上も社会人経験をしているわけで、結局、学歴による活躍度の差(報酬が企業の評価を反映しているものと考えて)は思うほど大きくないともいえる。

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