鉄道の「自動運転」は乗客・乗務員を幸せにするのか? JR九州・香椎線を例に考える

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JR東日本山手線は、運転士なしで運転できる「ドライバレス運転」を目指している。運転士がいないメリットとは何か、九州の例を取り上げ、その未来を語る。

車いす利用者の乗降を手伝う乗務員

香椎線(画像:写真AC)
香椎線(画像:写真AC)

 2020年12月から、JR九州の香椎(かしい)線は西戸崎~香椎間で運転士が乗務した列車で、ATS-DKをベースにした自動列車運転装置の実証実験を実施。在来線における自動運転列車の運行の知見を蓄積している。香椎線はBEC819系という蓄電池式電車を使用しており、非電化区間ながらも香椎で充電して電車を動かしている。

 2022年3月12日のダイヤ改正からは、自動列車運転装置を使った営業運転を香椎線全線で行い、対象列車も拡大する。2024年度末までに、運転士以外の係員が乗務する自動運転の実現を目指すという。なお、香椎線はワンマン運転となっている。

 JR九州では駅の無人化によるコスト削減で、係員がいない駅が増え、車いす利用者などの団体から抗議を受けている。手伝いが必要な利用者は事前に連絡して、係員が駅に赴き乗降の手伝いを行っている。

 香椎線の一部の駅では、2月1日から車いす利用の乗客から連絡がない場合でも、乗務員が乗降の手伝いをすることを始めている。待機スペースで待っていれば、乗務員が対応するという。ただ、構造上利用できない駅もある。

 乗務員のいる自動運転とこうした障がい者などの対応は、実は相性がいいのではないだろうか。特に無人駅が多く、ワンマン運転の香椎線では、運転士が運転をしながら乗客の対応を行うのは負担が大きいため、負担軽減に役立つ。

 ワンマン運転を行っていた路線で自動運転を行う場合、乗務員は乗客の接遇をメインの仕事として、緊急時のみ運転に対応することが可能になる。香椎線はそれを目指している。ワンマン化は運転士が何もかもやらなくてはならず負担が大きかったが、自動運転で運転の負担を減らし、接遇に力を入れられる。

 運転のように、基本的に同じことを繰り返すものを自動化することで、対人サービスやトラブル対応に注力すれば、乗務員と乗客の関係が変わり、特にローカル路線では距離が近くなるだろう。また、コスト削減にともなう問題点の改善にも役立つと考えられるのだ。

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