視覚障害者が「旅先の風景」を楽しむ時代へ ANAなどの実証実験、画期的な中身とは
ANAや損害保険ジャパン、プライムアシスタンスなどが2022年2月に行った視覚障害者向けの移動サポート実証実験。誰もが自由に移動を楽しむ社会の実現へ、その取り組み内容をリポートする。
遠隔オペレーターが周囲の風景を説明

この日の実証実験では、障害者250人超が働くAWOの従業員で視角障害のある二人が参加。神奈川県横須賀市にある京急「汐入駅」からよこすか近代遺産ミュージアム「ティボディエ邸」までの約600mほどを移動し、検証を行った。
実験後、参加者からは
「初めて来た場所でも一人で行けることに感動した」
「見る、聞く、振動で安心して歩けた。今後も使いたい」
とおおむね高評価の声が聞かれた。また、アイコサポートの使用感としては
「方向を指示してくれるのでスムーズに歩ける」
「オペレーターによる旅先での風景も説明してもらえるのは楽しみ」
といった感想。あしらせについては、
「足への振動がさりげなくて周囲の音に注意が払えるので便利だった」
と好評の様子だった。
一方で、要望としては、あいこサポートに対しては、カメラで映し出される範囲が狭くてオペレーターが分かりにくかったのか、カメラの画角を広くしてほしいとのこと。あしらせについては「(利用者が混乱しない範囲で)いろいろなパターンの振動があると移動しやすくなる」との意見が出ていた。
今回の実証実験のとりまとめはANAが行い、サービス全体の設計や開発を含め、「ANAそらたび検索」連携をサポート。共同開発パートナーとして参加した横須賀市は、実験会場の提供やデータを提供。損保ジャパンは実証実験のリスクアセスメントや安心・安全な自立的移動を支援する保険・サービスの検討を行う。