「駅の発車メロディ」は町おこしになる? 利用客には日常でも、ファンには“特別感”という事実【連載】移動と文化の交差点(5)

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最近、SNSや動画共有サイトでファンが各駅の駅メロを紹介し合うなど、一種の「ミュージックツーリズム」が注目されている。

ミュージックツーリズムの二形態

ミュージックツーリズムの考え方。八木良太氏『ミュージックツーリズムを通じた音楽まちづくりの実践』より(画像:総務省)
ミュージックツーリズムの考え方。八木良太氏『ミュージックツーリズムを通じた音楽まちづくりの実践』より(画像:総務省)

 ミュージックツーリズムは、

・ビートルズのリバプールやロンドンなど、アーティストゆかりの地を訪ねたり、歌詞に登場する土地を巡ったりする「聖地巡礼型」
・ライブや大規模音楽フェスなど音楽イベントへの参加に象徴される「体験型」

に大別される。日本では後者が主流だが、コアな音楽ファンの間では、前者も活発化している。

 筆者は最近、JR赤羽駅を利用した。駅周辺には東洋大学のキャンパスがあり、多くの大学生を見かける。昔は昼間から飲む文化やレトロな店が印象的だったが、街は常に変化しているようだ。

 駅の5番、6番ホームでは、エレファントカシマシの曲が発車の合図として流れる。「俺たちの明日」(2007年発表)と「今宵の月のように」(1997年発表)だ。

 エレファントカシマシと赤羽の関係はファンの間でよく知られている。ボーカルの宮本浩次、ギターの石森敏行、ドラムの冨永義之の3人は赤羽台中学校に通っており、そこで1981(昭和56)年にバンドが結成され、宮本は後に加入した。そして、1986年に冨永の高校時代の同級生・ベーシストの高緑成治が加入して現在のメンバーになった。

 デビューしてからすでに35年以上、エレファントカシマシは日本のロックシーンを代表するバンドとして活躍している。

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