「生きてるうちに整備して」 那覇市“LRT導入”で市民の意見公募へ “東京・大阪並み”の渋滞緩和なるか?

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慢性的な交通渋滞に悩む沖縄県那覇市は、2024年度にLRT導入に向けて市民から意見を公募することを決定した。今後どうなるのか。

道路延長しても渋滞が悪化

沖縄県営鉄道の那覇駅。現在の那覇バスターミナル
沖縄県営鉄道の那覇駅。現在の那覇バスターミナル

 市内は戦前、

・軽便(けいべん)鉄道
・路面電車

が走っていたが、路面電車は昭和初期、バスとの競争に敗れて廃止された。軽便鉄道は太平洋戦争で破壊されている。戦後、沖縄を統治した米国が道路整備を優先したため、鉄道網が完全に消滅し、バス主体の公共交通となった。

 しかし、1970年代になると、人口や産業が市を中心とした沖縄本島南部に集中し、慢性的な渋滞が発生する。県と市などが出資した第三セクターの沖縄都市モノレールが設立され、市内を縦断するゆいレールが2003(平成15)年に開業したが、渋滞は解消していない。背景に見えるのは、渋滞が続いても止まらない車社会の進行だ。

 市の人口は約31万人。2020年の約32万人をピークに減少に転じているが、周辺の地方自治体を含めた都市圏人口は約120万人いる。県内の自動車保有台数は2022年3月末で約118万台に達し、2015年から8.1%も増えた。

 しかも、国内屈指の観光地だけに、市の2022年観光入込客数は

「約510万人」

に上る。観光中の移動にレンタカーを使用しているのは、そのざっと6割。県内の道路延長は2015年度から2021年度までで40km以上延びたものの、焼け石に水の状態だ。

 国土交通省がまとめた県内一般道の平均走行速度は2021年度で時速24.8km。前回の2015年度調査から1.1km悪化した。県は公共交通やシェアサイクルの利用を県民に呼び掛けているが、思うような効果は上がっていない。

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