レンタカー利用率は6割超え! 「沖縄の観光客」が公共交通をあまり使いたがらない切実事情

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沖縄県には、国内外問わず多くの観光客が訪れる。その大半は、移動手段としてレンタカーを利用している。なぜ公共交通機関ではなく、レンタカーがなのか。

沖縄観光で人気の移動手段

沖縄「わ」ナンバーのレンタカー(画像:写真AC)
沖縄「わ」ナンバーのレンタカー(画像:写真AC)

 沖縄県には、国内外問わず多くの観光客が訪れる。その大半は、移動手段としてレンタカーを利用している。なぜ公共交通機関ではなく、レンタカーがなのか。

 沖縄県の文化観光スポーツ部観光政策課がまとめた「令和3年度観光統計実態調査」によると、全観光客が利用した交通機関のうち、レンタカー利用率は

「62.1%」

となっている。

 また、旅行内容は「観光地めぐり」が58.7%と最多に。形態は「個人旅行」が最も多く、75.6%を占めている。団体旅行やパッケージ旅行もあるものの、個人で自由に観光を楽しもうとする観光客が多いようだ。

 レンタカーを利用すれば、家族や友人などと周りを気にせず過ごせる。また、本島内を自由に走り回れる点も魅力的なため、好んで利用されている。

沖縄の交通事情とレンタカー業界の現状

那覇市の国際通り(画像:写真AC)
那覇市の国際通り(画像:写真AC)

 観光客がレンタカーを移動手段として選ぶ理由はほかにもある。

 沖縄では交通インフラ整備が整っておらず、問題視されている。陸上交通の全てを道路に依存してきた沖縄県は、2003(平成15)年8月10日に沖縄都市モノレール(ゆいレール)が開業するまで、バスが唯一の公共交通機関となっていた。

 住民の移動手段のほとんどがマイカーを使った車移動のため、道路では慢性的な渋滞が発生し移動性が低下。それによりバスの定時到着が困難となり、不便さを感じた観光客がレンタカーによる移動を選択するようになったと考えられる。

 このように、レンタカーは観光客の主な移動手段として使われてきたが、コロナ禍により影響を受けている。観光客が減ったことによる経営困難だ。それを乗り切るため、車の台数を減らし、維持費を削減する取り組みを行う事業者や、廃業する事業者も出てきた。

 沖縄県レンタカー協会の調べによると、コロナ前には約2万2000台あったレンタカーが、2022年3月末時点で約1万5000台と、実に約30%も減ってしまった。そんな状況下で2022年にコロナの水際対策が緩和されると、再び観光客が押し寄せてきた。沖縄県は、2022年8月の入域観光客数が前年同月比で2.2倍も急増したと発表しており、コロナ前の9割近くまで持ち直した。

 しかし、一度減らしたレンタカーの台数を急に戻すことは困難なため、予約が難しい状況となり、深刻なレンタカー不足に繋がった。。

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